二十四章 隊商の護衛依頼

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   春を迎えた西の国東部。だが、まだ朝早くは初冬の昼間のような寒さである。  早朝のまだ夜の明けぬ時間に、リューティスとレイガンは二人ならんで足早にある場所へと向かっていた。 「お、あれか」  西門前には既に人だかりがいくつかできており、馬車の姿の姿もちらほらと見えた。リューティスは昨日受付嬢に言われた西門の脇にあるという木を目で探す。 「あそこだな」  レイガンが指差す場所をリューティスも見ていた。荷馬車が十台とそれに繋がれた馬が十匹、繋がれていない馬がさらに数匹、そして商人らしき姿が何人かと冒険者の姿が何人か見える。 「首都までの護衛依頼の集合場所はここであってっか?」 「ん? あぁ、そうだ。依頼を受けてくれたやつか? あっちにいる男のとこに行ってくれ。隊商の責任者だ」  積み荷の確認をしていたらしい男にレイガンが訊ねると、男は一人の男の方を手で示す。その人物の周りには数人の冒険者の姿があった。 「了解した。ありがとう」  レイガンのあとに続き、隊商の責任者だという男のもとへと歩を進めた。 「依頼を受けてくれた冒険者か?」  レイガンが口を開く前にこちらに気がついた責任者が問うてきた。 「あぁ。Aランクのレイガンだ」  責任者が目を見開き、その周囲にいた冒険者たちが顔を見合わせる。Aランク冒険者というのは数が少なく、Bランクで一人前とされる冒険者にとって憧れのランクである。 .
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