396人が本棚に入れています
本棚に追加
/628ページ
「ああーくそったれ、汚れたじゃねーかお気に入りの服だったのに。」
我輩の目の前で彼女が不機嫌そうにそう呟いた。
「…珠枝。我輩、女の子はもうちょっと丁寧な言葉遣いをするべきだと思うのだ。」
「うっせぇよボケ親父。ていうかどうすんだよこれ。」
控えめにそう声をかけた我輩に向かい彼女は‘血塗れ’た眼鏡を顔から外して拭き始めた。
……我輩、鬼である。名前はまだない。
…嘘です。「馬鬼(ばき)」という名前がちゃんとあります。
我輩、これでも3メートル近くある巨人なのだ。
で、目の前で悪態つく口の悪い彼女は珠枝(たまえ)
我輩の下僕である。
彼女は半分人間で、半分鬼の所謂‘鬼人(きびと)’と呼ばれる存在である。
まあどんな存在なのかは、追って説明するとして…
目の前の問題に我輩は意識を向けた。
「うむ。誠持って面倒なことになった。」
我輩は珠ちゃんにそう言った。
最初のコメントを投稿しよう!