第4章

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 さて、恒例の後日譚である。  御方は彼のとんでもない願い事を無効化できただけでなく、一度は逃げられた魔を、二つも取り戻すことができてご機嫌だ。  その姿を見ると、今度は有坂の方が不思議になる。 「姫さまには、何か願い事はおありにならないので?」  どのような原理かは知らないが、魔の宝珠は確かに霊験あらたかだ。 そのようなものを目の前に、私利私欲にこの上なく正直な姫君が、自身の願い事を叶えるより、これを使役する事を優先しているというのが意外に思えた。
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