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「おはようございます、お目付けさま」
障子の向こうから、優しく起こされて、ぼんやりと目が醒める。
時計を見れば、4時を少し回ったところだ。
思わずため息が零れた。
「……オハヨウゴザイマス。姫はもう?」
「はい。すでに御日供(おにっく)に」
主が起きているのに従者がいつまでも寝ているわけにも行かない。
彼は身を起こした布団の上で、すぐに支度いたしますと声をかけた。
☆
総勢、巫女百名を擁する由緒正しい神道家。それがこの、葛葉神道家だ。
興したのは彼の仕える姫君の義祖父で、通称を≪老翁≫。
すでに年齢は三千歳を超えるという怪人物である。
何度かその噂の真偽を尋ねているのだが、彼の姫君は是とも非とも言ってくれない。
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