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その襟元に差し込まれた懐紙に不可思議な星形が描かれているのを有坂はちらりと見てとるが、声は何かに封じられたようにでない。
男が彼の目を覗き込んで、圧した。
言葉一つなく、見た物について口にする事を禁じられたと判る。
男は容姿の若さに反して、その瞳に宿る光が、まるで老人のようだ。それと気づいて、有坂は静かに戦慄する。
不意に魂を抜かれるような感覚がして、次の瞬間には、くっきりと目が醒めていた。
まだどこか夢の中にいるような心地だ。
しかし、その手には確かに三つの珠が残っている。
頭が微妙にとがったその珠は、一見水晶のようにしか見えない透明度を保っている。
だが、握ると、判った。
微妙に鼓動している。
「姫ッ」
眠っている涼の肩を揺さぶりながら、有坂は、この珠はいつのまにか自分の手の中に生じていたことにしなければならない事も、理解している。
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