第4章

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 この葛葉神道家に、彼以外に男がいるとしたら、それは唯一人。  それも常に御簾の内においでで、そこからは出られないことになっている存在である。その声は、この館で知らぬ者は無い筈だ。  しかし、あの紋は意外だった。 いかにこの世界の素養がない彼でも、あの紋は知っている。 涼はこの事実を知っているのだろうか。  尋ねてみたい気もするが、それを口にした瞬間、彼は自分の息の根が止められてしまうだろう予感もしているのだ。  しかし……齢三千歳。 あの相手が、彼の考えた通りの人物であるのであるならば。  それもまた、あり得ないこともでもない、のかもしれない。 ☆
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