そして物語は始まった

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 毎回、性交が終わると身体中に蓮の匂いが移ってる。特に精子の匂いは濃厚で、大きさに見合った量を出しているのだから当然かもしれない。  だから、凄く心地いい。  全身を蓮にマーキングされてるみたいで、なんと変質的だろうか。想像するだけで興奮してしまう。 「裕也、また勃ってきてる。ヤりたりない?」 「だってさ、蓮の裸見てたら勃つよ」 「なんだそりゃ」  屈託なく笑う蓮は漸く腰を上げて、俺から肌を離した。ずるずると肉棒を抜かれると、それだけで喘いでしまいそう。 「裕也の、精液どっぷり垂らしながら、スッゲー物足りなそうにヒクヒクしてるな」 「何処で覚えてきたそんな台詞」  ダチから借りたゲイビ、と蓮。そういえば友達にこっちの筋の人間が何人かいるって言ってたっけ。ぐったりとする俺を気遣うように、蓮は額にチューしてくれた。  相変わらず優しい。  大学に入って三年目の二人は来年から就職活動という事で、会う度にヤっていた。  でも、それでも蓮の優しさは変わらずで、浮気の一つもしない。イケメンでモテるだろうに、律儀で誠実で、最高に変態な彼氏。 「…………蓮」 「ん?」 「愛してるよ」  額のお返し、と言わんばかりに俺は蓮の薄い唇に自らの唇を押し当てる。  そう、この時までは、俺も蓮の事だけを、愛していたんだ。
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