44人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねぇ、俺を見て」
太い腕が俺の肩を捕まえて、身動きを取れないように固定される。智弘はそう言うと妖しく笑んだ。
元々顔立ちは整っていて、瑞々しい唇の下に生えた髭も、余計にセクシーに見せている。
ファッションなのだ、と本人は言っていて、単に剃るのが面倒なだけじゃないのか、と俺は思っていたが、強ち嘘では無さそう。
「…………離せよ」
「やだ。ちゅーしてくんないと離さない」
「ふ、ざ、け、る、な」
「ごふっ!!」
顔に似合わない事を言うな。
グイッと顔を近付けてくる智弘の腹に肘鉄をお見舞いする。鳩尾いったらしく口を梅干し食った感じですぼめている。
悪いが俺は蓮一筋だ。
他人に靡くつもりはない。
「用がそれだけなら帰るぞ」
「ぐっ…………でも、そういう冷たい所も、好き…………っ!!」
「キモい死ね」
最初のコメントを投稿しよう!