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「おーい、こっちアンプ重ねて置くぞ!」
「ちょっとコードこっち持ってきてー!」
「マイクテストもう出来んの―?」
「返しの場所ちょっとおかしくねぇ?」
とある街の、とあるライブハウス。
僕たちのバンドは全国ツアーでやってきた。
認知度なんてまだまだだし、ワンマンでライブはまだできないけど。
こうやって各地のライブハウスを回れるくらいにはなれた。
「……なんかすげー感慨深いわ」
隣に立ったメンバーの南がステージ見上げて呟いた。
うん、だよね。
僕も今そう思ってたよ。
「北斗もだろ?」
にやりとした笑いに頷いたら、南もまた頷いた。
「お前らなー、さっさと準備手伝えよ」
「ほーいっ」
後ろからメンバーの天馬に声かけられて、僕たちは2人慌てて手伝いに入る。
「せっかくの聖地だぞ。だからこそ準備に抜かりなく、完璧に終わりたいだろ!」
流星がぐっと拳を作ったのを見て、やっぱり僕たちは深く頷いた。
聖地というのはここのライブハウスの事。
僕、北斗と南、天馬、流星の4人のバンドは尊敬してて目標にしてるバンドがあるんだ。
Bloodstones。
今じゃBloodstonesを知らない人はいないくらいなんだけど、その人たちがデビュー前からライブをしていたって言うのがココ。
ずっと憧れてて、やっと、僕らもここに立てることになったんだ。
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