1 夢に見たこの場所

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「おーい、こっちアンプ重ねて置くぞ!」 「ちょっとコードこっち持ってきてー!」 「マイクテストもう出来んの―?」 「返しの場所ちょっとおかしくねぇ?」 とある街の、とあるライブハウス。 僕たちのバンドは全国ツアーでやってきた。 認知度なんてまだまだだし、ワンマンでライブはまだできないけど。 こうやって各地のライブハウスを回れるくらいにはなれた。 「……なんかすげー感慨深いわ」 隣に立ったメンバーの南がステージ見上げて呟いた。 うん、だよね。 僕も今そう思ってたよ。 「北斗もだろ?」 にやりとした笑いに頷いたら、南もまた頷いた。 「お前らなー、さっさと準備手伝えよ」 「ほーいっ」 後ろからメンバーの天馬に声かけられて、僕たちは2人慌てて手伝いに入る。 「せっかくの聖地だぞ。だからこそ準備に抜かりなく、完璧に終わりたいだろ!」 流星がぐっと拳を作ったのを見て、やっぱり僕たちは深く頷いた。 聖地というのはここのライブハウスの事。 僕、北斗と南、天馬、流星の4人のバンドは尊敬してて目標にしてるバンドがあるんだ。 Bloodstones。 今じゃBloodstonesを知らない人はいないくらいなんだけど、その人たちがデビュー前からライブをしていたって言うのがココ。 ずっと憧れてて、やっと、僕らもここに立てることになったんだ。
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