8 あの頃の俺達

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「じゃあともさんはレンさんと別れて、蒼さんと付き合いだした……」 「ざんねーん」 「……え、」 「俺とも半年付き合ってたもんなー?ともチャン」 今度はケンさんが後ろから腕をまわして、ともさんをよしよしって撫でる。 それに苦笑を洩らすともさんは、なんだか少しお母さんみたいな顔で。 「でーも、ケンちゃんだって留学するってともちゃん置いて行ったじゃん」 「え、」 それって、ともさん…… 「あれ、北斗くん。そんな泣きそうな顔、しないで?」 「あ、えっと、ごめん、」 「ううん。いいの。全く、この二人ったら、“こんないい女”ふって行ったのよー?」 ふざけて、レンさんとケンさんの腕にパンチしたともさんは。 それから少し真面目な顔した。 ソレがすごく綺麗で。 「でも……ずっと蒼が隣にいてくれたって気づけたから」 目を伏せるともさんに見惚れていれば。 「ね?蒼?」 「くくっ、俺の長年の片思いもやっと成就したわけだ」 「随分お待たせしましたが、もうソレ以上に年月が過ぎてしまいました」 肩を揺らすみなさんは顔を見合わせて。 「歳くったな?」 「お前もな」 「僕は変わらなくない?」 「キイ、今日会った途端、僕は変わったって言ってなかった?」 「……れんれんって、そういうところ良く覚えてるよね」
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