348人が本棚に入れています
本棚に追加
/50ページ
……え?今、何て言いました?
思わず僕は耳を疑った。
だって。
「聴きに来れないの。流石に子供2人残して来れないし」
「え、えぇ!?こ、子供いるんですか!?見えない……」
「ふふっ、ありがとう。来れないのは残念だけど、こうして北斗くんとお話出来たからよかったかな」
「え、あ、えっと」
「ライブ、頑張ってくださいね。私はコッチ聴いてるから」
首から下がったイヤホンを持ち上げてにっこり笑ったこの人に、なんか、どうしよう、なんかないかな……
僕は慌てて鞄の中を漁って、
「これは……メロンパンだし、これは……大福だし、えっと、あった!」
最近作り始めたグッズのタオルを取りだした。
「これ!僕らのグッズ、よかったら……」
「ううん、それは貰えないよ。私、ただのファンだもん。こんなおばさんがファンで申し訳ないけどね」
「いやいやいや!!おばさんじゃないです!」
「あ、じゃあ、握手だけ、お願い出来ますか?」
「は、はい!是非!!」
手を振って帰って行った女の人をしばらく見つめてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!