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「お前ね、そんな顔してんなって」
「うぅ……」
ワゴン車から窓の外、街並みを眺めた。
朝宿泊先のホテルを出て、向かうのは次の会場。
この街を出てしまったら、もうあの人には会えないのは絶対。
いや、街を出なくても会える確率なんて本当に低……
「あーーーーっ!!止めて止めて!!!」
路肩に止まった車から飛び降りるようにして、歩道を歩くその人が来るまで凝視した。
「え、お前もしかして、あの人?」
「うわー、すげー綺麗な人じゃん!」
車の中からメンバーの声が聞こえるけど、そんなの無視!
目の前まで来たその人が僕に気づいて顔を上げると、ふわっと微笑みながらイヤホンを外した。
「ふふっ、おはようございます。昨日のライブはどうでしたか?」
ほら、やっぱり!!
間違いない!!
「昨日は、大成功でした!」
「それはよかった」
「あのっ」
「はい?」
「僕と友達になってください!!」
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