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「あーーもう、面倒くせえんだよ、てめえはイロイロ! そういうとこ直せって前にも言っただろ、バーカバーカ!」
「うむ……まあ、それは認める。少しは直す……ように努力はする……つもりではある……が」
「うわ、期待できねぇ……」
「わ、私が直します! いえ、そんな無理して直さなくても、私がわかってあげられるようになればいい事で……」
思わず口を挟んでしまって、ポッと顔に血が上った。
「うん、そうだな。美春と俺がわかればいいか」
滝桜の下、ちょっぴり不機嫌そうに頬を掻く京さんと、笑顔の了さんと私。
この桜はこうして私たちの時間を見守り続ける。
昔も今も、そしてこれからもずっと。
「……じゃあ、俺は先に本家へ行ってるぞ。お前たちは後から六さんの車で来いよ。ちゃんと報告をしに」
了さんが背を向け、私たちを残して歩き始める。
「……了さん!」
立ち止まらない後姿に、私はありったけの想いを込めて叫んだ。
「私、あなたが大好きです。本当だから! だから……」
「知ってるよー……」
振り向かずに手を振り、その背中が小さくなっていく。
大好きです。
私を見つけてくれてありがとう。
あなたのおかげで、私は誰よりも幸せです……。
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