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「なんだよ、はるみ……。愛してるって、誰がそんなこと……」
「え? な、なに、高志さん急に。なんのこと?」
「今、君が言ったんじゃないか。毎日、その……」
「私、なんにも言ってないけど……?」
春風が日記のページをめくり、カサッと音が立った。
「は? たった今、おばあさまに君が……あれ?」
男性が、わたくしの日記に挟んであった写真に目を留める。
「これ……はるみ、か……?」
「もう、今は私はみはるさんだって言ってるのに……! ……え!? なにこの写真……」
美春さんが写真を覗き込んで、不思議そうに首を傾げている。
いやですわ、お忘れですの?
それはあなたの卒業式に、記念に撮った一枚でしょう。
居間に飾ってあったのを見つけて、わたくしが大事に持っているの……。
「……明ー日の……月ー日は……。……なーいも……の、をー……♪」
「これが美春さんって人じゃないか? ずいぶん色褪せてるから、かなり古い写真だと思うけど……。それにしてもはるみとよく似てる」
「だから奥さまは、私と区別がつかなくなったのね。あ、写真の裏に何か書いてある……」
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