17 出発の日

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留美は、はたと気がついた。 それは、留美のルーツだからだ。 ここで生まれ育った。 この場所が残っていることを強く願った。 つまり私がこの世界にいる事の証なんだ。 この世界は、本当は崩れてなんかないのかもしれない。 歳は違うが優人は見つけたし、カナロアやオーナーも存在している。 留美は頭の傷の事を思い出した。 全く記憶にない傷。 ふいに、幽かであやふやなイメージがフラッシュバックする。 暗い海の中、たくさんの泡、激しい逆流? それ以上は、どうしても思い出せなかった。 考えれば考えるほど、混乱する。 だが、それは嵐の海の光景であると考えて良さそうだった。 見た事も無いはずなのに、イメージだけは頭の中にある。 それが何を意味するか確かめるには、実際に嵐の海に飛び込んでみるしかないのでは。 そう思った。 例の、嵐の日に行方不明になった女の子が、自分を引き寄せている気がする。 女の子が叶えられなかったバードケージを抜けた先に、本当の真実がある。 なぜか、そんな気がしてならなかった。 留美は、沸き上がる興奮とかつてない恐れに包まれ、全身が震えるのを感じた。
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