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「あぁ、やっぱり行きたくないな…
結城チーフ苦手なんだよなぁ…」
明日の朝イチの会議資料も出来上がった時
内線電話が鳴った
「はい、営業本部 杜崎です」
「…耀か?」
受話器から懐かしい声が聞こえた…
「雄司さん…あっ、榊室長お疲れ様です」
「鈴木チーフまだいるか?」
「鈴木チーフは定時で帰りました…
営業本部は私だけです」
「ひとりか…お前も早く帰れよ…
耀、そっちは寒いだろ…
お前寒がりだから大丈夫か?」
(お前は寒がりだから俺が暖めてやるよ… )
雄司さんほんとは寒いよ…
隣で暖めて欲しいよ…
「今年はいつもより寒いみたいですね…
でも大丈夫ですよ…それに私地元ですよ
心配しないで…」
「あぁ、そうだったな地元か…実家暮らしか?」
「いえ、独りです…実家には兄夫婦がいますから」
「そうか、独りで寂しくないか…」
(何でそんな事言うの…)
「何言ってるんですか…そんなに弱くないですよ」
「俺が心配する事じゃないな…
お前にもいい奴がいるかもしれないしな…」
「そうですよ、私モテるんですよ」
「そうだな、耀はいい女だから…
俺には勿体ないくらいいい女だったな…」
(何で…涙が出そうだよ…)
「榊室長、急ぎのご用でしたか?」
「あぁ、そうだった…
明日の会議で使う資料メールしとくから伝えて
じゃ早く帰れよ」
そう言って切れた受話器を持ったまま
「雄司さん…会いたいよ…寒いよ…」
涙が止まらない…
どれくらいそうしていたんだろう
「杜崎さん、お先!こっちはみんな帰るから…
杜崎さんも早く帰れよ!」
フロアに残ってた他の部署の人達が帰って行く
デスクに置いてたスマホが光った
「あっ、華絵ちゃんだ… わっ、もうこんな時間…」
フロアの時計は20時になるところ…
「もしもし華絵ちゃん?」
「耀ちゃんまだぁ~みんな待ってるよ~」
「華絵ちゃんずいぶん酔ってるね…
大丈夫?ごめん…いま終わるところ…
私やっぱり今日は止めとく…ごめんね…」
「何で~いま篤がそっちに迎えに行ったから」
「えっ、華絵ちゃん「ガチャ」」
電話が切られたと同時に
「杜崎さん…」
振り向くと結城チーフが立っていた…
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