第1章

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「あぁ、やっぱり行きたくないな… 結城チーフ苦手なんだよなぁ…」 明日の朝イチの会議資料も出来上がった時 内線電話が鳴った 「はい、営業本部 杜崎です」 「…耀か?」 受話器から懐かしい声が聞こえた… 「雄司さん…あっ、榊室長お疲れ様です」 「鈴木チーフまだいるか?」 「鈴木チーフは定時で帰りました… 営業本部は私だけです」 「ひとりか…お前も早く帰れよ… 耀、そっちは寒いだろ… お前寒がりだから大丈夫か?」 (お前は寒がりだから俺が暖めてやるよ… ) 雄司さんほんとは寒いよ… 隣で暖めて欲しいよ… 「今年はいつもより寒いみたいですね… でも大丈夫ですよ…それに私地元ですよ 心配しないで…」 「あぁ、そうだったな地元か…実家暮らしか?」 「いえ、独りです…実家には兄夫婦がいますから」 「そうか、独りで寂しくないか…」 (何でそんな事言うの…) 「何言ってるんですか…そんなに弱くないですよ」 「俺が心配する事じゃないな… お前にもいい奴がいるかもしれないしな…」 「そうですよ、私モテるんですよ」 「そうだな、耀はいい女だから… 俺には勿体ないくらいいい女だったな…」 (何で…涙が出そうだよ…) 「榊室長、急ぎのご用でしたか?」 「あぁ、そうだった… 明日の会議で使う資料メールしとくから伝えて じゃ早く帰れよ」 そう言って切れた受話器を持ったまま 「雄司さん…会いたいよ…寒いよ…」 涙が止まらない… どれくらいそうしていたんだろう 「杜崎さん、お先!こっちはみんな帰るから… 杜崎さんも早く帰れよ!」 フロアに残ってた他の部署の人達が帰って行く デスクに置いてたスマホが光った 「あっ、華絵ちゃんだ… わっ、もうこんな時間…」 フロアの時計は20時になるところ… 「もしもし華絵ちゃん?」 「耀ちゃんまだぁ~みんな待ってるよ~」 「華絵ちゃんずいぶん酔ってるね… 大丈夫?ごめん…いま終わるところ… 私やっぱり今日は止めとく…ごめんね…」 「何で~いま篤がそっちに迎えに行ったから」 「えっ、華絵ちゃん「ガチャ」」 電話が切られたと同時に 「杜崎さん…」 振り向くと結城チーフが立っていた…
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