第1章

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「よお。悩み事かい?」 学校からの帰り道。 見知らぬ男が突然話しかけてきた。 「なにか悩みがあるなら力になれると思うんだけど。どうよ」 僕が訝しげな視線を送っていると、さらに男が馴れ馴れしく話しかけてきた。 「僕に何か用ですか?」 「いやいやいや。悩んでいることがあるんだろ? こういう時は大人の言うことはおとなしく聞いておくものだよ」 怪しげな男が、さらに怪しげなセリフを吐いてくる。 「いえ、怪しい人の話は聞くなと教わっているので」 「へえ、それはそれは関心な心がけだね。いったい誰に教わったのかな」 怪しい男の言葉に、一瞬脳裏に両親の顔が浮かび上がる。 「今時学校の先生でも親でも言ってますよ」 そんなイメージを振り払うように、冷たく言い放つ。 「そうか。君のご両親はさぞかし立派な人たちだったのだろうね」 いったいこの男は何がしたいのだろうか 突然に話しかけてきて 唐突に両親の話しをして いったい何が目的なのだろうか。
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