第1章

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次の日僕はとある神社の境内にいた。 人口三万人程度の小さな町の、これまた小さな神社。 誰からも忘れ去られているわけではないけれど 年始の初詣以外でこの神社を訪れている人はほとんどいない。 寂れているわけではなく 廃れているわけでもない。 ただ関心を抱かれていないだけの小さな神社。 その神社のさらに片隅。 ひっそりと佇む小さな祠が今日の僕の目的地だ。 昨日の怪しげな男に渡された紙には その祠の中に僕の望むものがあると書かれていた。 決してあの昨日の男の話しを全て間に受けたわけでも信用したわけでもない。 それどころか、あんな怪しげな男の言い分など爪の先程も信用していない。 しかし幸か不幸か今日が土曜日で学校が休みであり 尚且つとくに用事もなく グダグダとあの家で無為に時間を過ごすくらいなら 怪しげな男の狂言に付き合ってみるのも別に構わないと思っただけだ。
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