第1章

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地図の指し示した先を目指して町の中を歩く。 そういえば、こうやって町を歩くのは四ヶ月ぶりだ。 まだ両親が生きていた頃は妹と一緒によくこうして町を散歩していた。 それも今では遠い昔のことのように感じる。 たった四ヶ月前のことなのに 生まれ育った見慣れた町並みのはずなのに、どこか違う町のように感じる。 それがどうしようもなく気持ち悪かった。 神社から歩くこと四十分。 入り組んだ迷路のような路地裏を抜けてやっと辿り着いた目的地は 関心を持たれていないだとかそんなレベルじゃない。 世界から忘れ去られ 時代から取り残されたような 古めかしく怪しげな妖気とでも言えばいいのだろうか とにかくそんな雰囲気を纏った民家だった。
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