入学

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「博文が素をみせて笑っている時点でただの転校生じゃないとは思っていたが、この学園を変えるって、何者なんだ、お前らは」 ビビっているような感じではなく、素朴な疑問として聞いてきた羽柴先生。 協力してもらうんだし、その質問に答えないとな、と思い 「博文さんも社長の一人の財閥のグループを束ねている総帥の一人息子で、博文さんとは従兄弟です。なんで学園を変えるのかという質問は、立場上詳しくは話せないので、そこはご了承ください」 と伝える。 クライアントのことを他人にバラすのは、便利屋としては、お法度。 俺が今、便利屋だとバラせば博文さんが依頼したことがバレるだろうし、なにより、親父が有名な便利屋だとバレることにも繋がりかねないしな。 親父の裏の顔が便利屋だとバレないようにするのは我が家の掟。 即ち、俺自身も将来は親父の表と裏の顔、両方の顔を引き継いでいくから、俺が便利屋だってこともばらせないからなんだけど。 「ふぅん。まあ、変えてくれるっつーんなら俺にとってはメリットだらけだ。こんなカッコしなくてもすむし、変なキャラをつくることも、礼儀知らずにイラつくことも、教師さえも家柄で下に見たりすることに対してぶち殺したくなるのもなくなるってことだしな。それに、従兄弟つったら、博文が溺愛している奴のことじゃねーか。そんな奴の頼みを断ってみろ。後が怖い。まあ、なんだ。俺の出来る限りのことは協力してやるよ」 博文さんのお陰で、仲間が一人増えた それはよしとしよう。だが、なぜ従兄弟と聞いただけで溺愛しているというワードが出てくるのか、不思議でならない。 博文さん……いつもどんな話してんのさ……
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