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彪太の機嫌をとりつつ、副会長を待っていると、およそ20分遅れで門の前にやってきた副会長。
とはいっても、学園側の門の前だが。
「すみません!いま、あけますね」
副会長がこういうと、ギギギと音をたて、大きな門が開いて副会長の姿が現れた。
口調からしても走ってきたとは考えられないくらい落ち着いていたし、姿をみても汗一つかいておらず、制服もピシッときているところからみて、遅刻していても歩いて門まで来たんだろう
…………ほんっとグズだな。
なんて呆れてはいるが、顔には出さず無表情を突き通す。
まあ、彪太は嫌そうな顔をしているが
「あなたたちが、遅れてきたという新入生ですね。私は副会長の源 恵と申します。よろしくお願いしますね。では早速理事長まで案内しますので着いてきてください」
彪太の嫌そうな顔なんて気にもせず、遅れてきたことも謝りもせずに王道通りの、本気でしてんのか?って聞きたくなるような作り笑いをしながら話し、背を向け歩きだした副会長。
なんていうか、今のところ評価は最低だな。副会長という立場の人間がこれじゃあ、理事長も依頼してくるわな。
しかも、金持ち校らしいし?
色々と立場もあるんだろうし、理事長からは言いにくいんだろう。
だからといって、野放しにしすぎているとは思うがな
「琥哲。考えすぎてて、副会長サッサと進んじゃってるから。俺らもいくよ。置いてかれるし。」
考えていると、彪太からの声が。
彪太からいわれ、副会長をみると随分と離れてしまっている。
着いてきているかも確認せずに進むとは…………案内も出来ないなんて、どんだけ低脳なんだ。
まあ、いい。こんだけ低脳の方が、変えようがあるってもんだしな。
「すまん。いくか、彪太」
「いっとくけど、まだ完璧には許してないからな。こんなとこに来たこと」
「悪かったって。でも、部屋もクラスも同じだし、ずっと一緒なんだ。話してもらわないと淋しい」
「……俺のことをよく理解してるよ、琥哲はホントに。淋しいなんて言われたら許すしかないじゃないか」
「許してくれんのか?」
「………琥哲が取られるかもしれないのが嫌だったから、ここは嫌だったんだが、ずっと一緒っていうんだし許す」
「ありがとな。なら、行くか」
そうして、俺らは副会長を見失わないように理事長に向かって歩きだした。
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