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「悲鳴聞こえたけど、…雅宏?!」
さすがの立原も倒れている雅宏を見て動揺した。
「えっと、…動かさないで。救急車呼ぶ。大丈夫だからね。」
立原はそう言ったけれど、美織音は涙が止まらなかった。
数分後、救急車が来て、すぐ近くの大学附属病院に搬送された雅宏は、軽い脳しんとうを起こしていた。
待合室で待つ美織音と立原は暫く黙り込んでいたが、立原は美織音に尋ねた。
「雅宏くん、何、階段を踏み外したの?」
「踏み外したなら、下りだから後ろに倒れると思うんですけど…。」
「そうだよね。うーん、あ、」
立原が顔を上げるとその先には、雅道がいた。
立原は立ち上がると、声をかける。
「叔父さん!」
「光一、久しぶりだね。雅宏は?」
珍しく慌てた様子だ。
周りをキョロキョロ見渡していた。
「今、処置してもらってます。軽い脳しんとうと、あと腕が折れてるかもって。」
「骨折?何があったの。」
立原は美織音に目をやった。
正直、立原もあまり状況を把握していない。
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