15人が本棚に入れています
本棚に追加
五月も半ば。
新緑が目に眩しい。
早朝の学園には、吹き抜けから光が差し込んで、そこを通る人を優しく照らし出す。
「満お兄様、御機嫌よう。」
紫苑は控えめに微笑んで会釈をした。
紫苑の「兄」の満は、掲示板の前で腕組みをしていた。
「お早いんですね。…例の日から。」
「紫苑。まだ屋敷で寝てるかと思った。」
満は微笑み返すと、掲示板に貼られた紙を指先でそっと撫でた。
「美織音さん、停学?」
「僕も減給だ。君が僕を売ると思わなかったよ。がっかりだ。」
紫苑は表情を変えない。
最初のコメントを投稿しよう!