宵闇に歌うカナリヤ~magic45~

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「そんなに、虎南と別れてほしかった?」 「別れたんですか。」 紫苑は素知らぬふりをして尋ねた。 「昨日、屋敷に来たよ。あなたみたいなろくでもない人とはもういれませんって。…あの子らしいけどね。そんなにろくでもないことないと思うんだけど。」 本気で自分のものにしたかったらしい。 紫苑は、疎ましく思いながらもそれを出さないように努めてきた。 虎南は、紫苑から見ても、美人で快活で、自分とは正反対だけれど、敵に回したらとても怖そうだった。 そして、頭の回転の良さが満に似ていた。 さすがにもう諦めどきかとは思ったけれど、美織音のしたことがどうしても許せなかった。 「お兄様はろくでなしなんかじゃありません。私のこと、大切にしてくれるもの。」 そう言うと満は複雑な視線を紫苑に向けて、頭を撫でた。 「俺の責任の取れないことはしないように。庇えることと庇えないことがある。」 「…。」 満の後ろ姿を見送ると、紫苑はそのまま教室に向かった。 Aクラスの紫苑の席には先客がいた。
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