宵闇に歌うカナリヤ~magic45~

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「椎名。」 呼び止めると、勉強していた問題集から、吉良は顔をあげた。 「おはよう。」 紫苑は不満そうに吉良の前の机の椅子に座った。 「この前、あなたが鍵を閉め忘れたから立原先生に見つかったじゃない。」 「ごめん、怒られた?」 悪いと思ってないな、と紫苑は呆れた。 そういうところが吉良の良いところだけれど。 「襲われたわ。」 「は?」 「…やだ、未遂よ。雅宏くんが止めに入ってきたから。」 紫苑は髪の毛をひと束指先にくるくると巻きつける。 「立原先生、ドキドキしちゃった。ああいうこと、できるんだ。」 「…。俺は殴られると思ったから逃げることしかなかった。」 「殴らないわよ。先生だもの。」 「東條のこと、裸にしてプールに沈めたの、絶対先生だと俺思うんだけど。他に誰がやる?」 紫苑は笑って首を傾げた。 東條佳乃は邪魔だったからちょうど良かった。 吉良のことは、自分の手中に収めておきたい。 なんとなく。
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