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「それで、小笠原雅宏の気、ちゃんとひいてくれるんだろうな?」
吉良が怖い顔で聞くので、紫苑は頷く。
「手は打ってあるわ。私、彼のことけっこう好きよ。」
表向きは爽やかで誠実な生徒会長を演じながら、手に入れたいものには自分の権力を使うしたたかさが。
「…今さら、美織音のこと諦められない。」
「解せないわね。…虐めるのは楽しいけど。綺麗なんだもの、あの子。綺麗事で飾った感じを壊していくのが楽しい。不可侵領域を攻めていく感じ。」
そう言って紫苑は立ち上がると吉良の膝の上に座った。
首に腕を回すと、紫苑は囁いた。
「壊して、私が美織音さんになる。」
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