宵闇に歌うカナリヤ~magic45~

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「そんなこと、無理よ。」 甘くて高い声。美佐だ。 紫苑はゆっくりと振り返る。 美佐は教室に入ってくると、紫苑と吉良の前に立ちふさがった。 「消して。私と雅宏様の動画。」 怒ってもかわいい子だ。 紫苑は鼻で笑うと制服の裏ポケットを探った。 「これ?」 美佐は手を差し出したが、紫苑はそれを払った。 「いいじゃない、これ。雅宏くん、これがあったらあなたの言うこと、なんでも聞くわよ?」 「私、あなたがどんなことをして潰されても構わないですけれど、椎名にそんなことさせたくないですわ。」 「可愛がってあげたのに、ひどいこと言うのね。私だって躊躇わない訳じゃないのよ?でも、雅宏くんはそれなりの罰は受けなきゃいけないでしょう。」 美佐のことをどうしようだなんて紫苑は全く考えていなかった。 ただ、可哀想な子だ。 「一人でやってくださる?椎名、いつまでこんなことしてるの?!私、美乃様と真剣に付き合ってると思ったのに!」 「美織音のこと、手に入れるためならなんでもするよ。」 「…っ、最低!そのままだと、この人に飼い殺されますわよ!」 そう言って美佐は走って教室から出て行った。 「美佐は、かわいいわね。」 紫苑なクスクス笑いながら、吉良の首筋を指先でなぞった。
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