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そうこう言っている間に学園の裏口についてしまった。
美織音は柏木に礼を言うと軽やかに車を降りた。
とても気持ちのいい朝…のはずだった。
学園のエントランスに入るなり、掲示板に人が群がっている。
美織音からは人が多すぎて何かよくわからない。
すると、前の方から怒鳴り声が聞こえてきた。
「陰宮さん!なんで美織音が停学なんですか?!」
雅宏の声だ。
美織音は内容には気を留めずそれだけが気になった。
しかし、次の瞬間、自分の身に起きたことを理解した。
「いや、だからー、僕も責任取って減給だし、逆宮さんにもそれなりに、」
陰宮が弁明している声が聞こえる。
「あんたが美織音のことけしかけたんだから、あんた一人の責任だろ?!」
雅宏がここまで声を荒げるのも珍しい。
美織音は大きく手を挙げると叫んだ。
「あのっ!逆宮ですけど!!どういうこと?!」
生徒たちが一斉に振り返った。
さすがに、美織音はその視線が重すぎて一歩ひいてしまいそうになった。
「どうもこうも!停学3日間って!」
雅宏がものすごい勢いでこちらに歩いてきたので、美織音は後ずさった。
「停学くらうってことは、内部進学の可能性はゼロ、奨学金の選考にだって関わるんだぞ?!」
内部進学の可能性がゼロ。
美織音はそれを聞いた瞬間、目の前が真っ暗になった。
身体の力が抜けて、崩れ落ちる。雅宏の声が遠くに聞こえて、意識を手放した。
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