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美織音が目覚めた時、真っ白な天井がまず目に入って、
「逆宮くん、」
「きゃあっ、」
誰かいると思わなかった美織音はとっさに目の下まで布団をかぶった。
「た、立原先生、」
立原だと確認すると、美織音は胸を撫で下ろした。
立原は今来たようで、後手でカーテンを閉めた。
「ごめん、ごめん、驚かせたね。担任の先生、今日出張だから代わりに様子見に来たんだけど。」
白衣を着ている立原を見るのも久しぶりだ。
どうやらまだ授業中らしい。
「今、何時ですか?」
「11時すぎ。もうあと一時間したら虎南が迎えに来るって。」
立原の笑顔に反して、美織音は暗い気分だった。
「私…停学だなんて、…。」
「ああ、それなら、」
立原は美織音に紙を差し出した。
「理事会で不承認になっちゃって、結局、取り下げられたよ。」
「え、…そんなことあるんですか?」
美織音は拍子抜けした。
気絶したのが馬鹿みたいだ。
「ないよ。雅宏くんが、金積んだんだ。理事を集めて即否決。雅道叔父さんの鶴の一声でみんな何も言えなくなったらしいね。」
美織音は不満げに一点を見つめた。
「雅宏くん、授業出てないけど。…良かったね。」
「良くないです。」
「えっ?」
美織音はベッドから起き上がって靴を履くと立原を押しのけた。
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