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──恋愛なんて、もっての他だ。
俺は、園草 胡枯(そのくさ こがれ)
地味に生きる事だけに、全身全霊をかけてきた男──いや
その家訓に従って生きてきた園草家長男、つまり跡取りだ。
平和を脅かす危険因子なんぞ回避するにきまっている。
他人とは最低限しか関わらないのが当たり前の人生。
ところが、今朝……日常を脅かす事件が起きたのだ。
登校して開けた下駄箱の中に、ハートマークがちょこんと付いたピンクの付箋のアレが……そう例のアレが入っていたのだ。
まだ早朝特有の、浮いた様な意識の中視界に飛び込んできた女子らしさが滲み出る可愛らしい字体のタイトル。
「果たし状☆
ー小波 神奈よりー」
ほら。
どこからどうみても、ラブレターだろう。
むしろこの程度の照れ隠しを気付いてやれない男子は器が知れている。
──しかし女子よ、相手が悪かったな。
俺だ。
断る。その場で念入りに細かく破り捨て、宙へ放った。
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