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「草クン、おっはよーだぜー!」
戸を引き切ると同時に、聞き覚えのある底抜けて明るいハキハキとした女子の声が、俺の耳へ入り込んでくる。
最前列真ん中の机を陣取り、フワフワ揺れるミニスカートから両足をバタつかせ
ソイツはこちらへ無邪気な笑顔を向けていた。
背丈の小さなソイツは、通称と呼ばれるクラスのトラブル……
否、とりあえずはムードメーカー的存在と周知されている女子生徒。
そのニックネームは当然イジメの類いではない、ちょこんと揺れるサイドテールの髪の毛が見事なまでの濃い橙色──本人曰く
みかん色。である事に由来し……
何より、本人が気に入って名乗ってしまっているのが最大の理由だと言えるだろう。
むしろ同級生の本名なんぞ、俺は知らん。
ニックネームを覚えているだけでも表彰モノだ。
「くっさクーン!返事ー?。」
その押し付けのコミュニケーションに仕方なく、愛想に軽く手を立てて応えてやると、もげるんじゃないかという程に大袈裟に
大きく手を振り喜ぶ彼女。
《こなみかん》は、そして突拍子もなくこちらに駆け寄ってくるのだった。
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