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本棚の隙間から見えた横顔は、真剣な眼差しで文を追っていて。
そしてその人は。
ふっと微笑んだんだ。
綺麗だと、思った。
窓からの夕陽が当たっていたのとか。
本を読む姿勢とか。
目を伏せるようにして読む角度とか。
なんとなくされた頬杖とか。
写真のように頭の中に、記録された。
チャイムが鳴って、帰って行く。
読みたかった本が持って行かれたのはもうどうでもよくて。
受付カウンターに置かれた貸出カードを持ち上げて。
新しいソレの一番上に書かれた名前を、
――記憶した。
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