第1章

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パキッ、と焚き火の木の枝が爆ぜた。 その音でうとうとしていた青年が現実に引き戻された。 眠気を醒まそうと横にあるコップを持ち、その中の液体を口にした。途端に身が暖まり、ぼやけていた思考が急速に目覚めていく。 「……」 青年は答えない。虚ろな視線がただただ焚き火の炎を見つめている。この赤い揺らめきを見ていると幼き頃の出来事が鮮明に脳裏に浮かぶ。 立ち尽くしている自分。そして目の前には燃える自分の大切な場所。 「ちっ」 漸く発したのは彼の舌打ちだった。嫌な思い出だ。記憶を消したいと思うほど。 彼は頭を振り、無理矢理切り離した。そして話題を変えるように辺りを見渡す。 その双眸が一人の少女に目が止まる。透き通るような美しい銀髪の髪に青い―この世界でもそうなのだろうか―軍服を来ている少女。 彼女はアルカミスという国の出身者で貴族よりも更に位が高い俗にいうお姫様だ。 城から一度も出たことがないらしい(真意はどうか分からないが)彼女は自分の旅に半ば強引に着いてきた。 お姫様の性格は我が儘で高圧的だとよく話しであるが彼女は絵にかいたような人物だった。 そんな彼女だが今は地面に横たわって、すうすうと可愛らしい寝息を立てている。
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