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「・・・・・・」
彼は歩を進めながらあの不思議な少女の事を考えていた。光の中から突如現れた女の子。何の感情を持たず、無機質に喋る様子がキースは気になった。
「・・・って何で俺はあいつの事を考えているんだ?」
急に我に返り自問自答する。今まで他人に関心を持たず、生きてきたがここまで人の事を考えたことがなかった。
「いや、まさかな」
頭の中で浮かんだ可能性を振り払う。やがて道なりを歩いていると家が見えてきた。
「ただいま」
「お兄ちゃん、お帰りなさい!」
家のドアを開け、帰ってきたことを告げるとミシェルが笑顔で彼を出迎える。しかし、彼の状態を見てその笑顔が固まった。
「どうしたの?!お兄ちゃん傷だらけだよっ!!」
「ん?まぁ、ちょっとな」
言葉を濁すキースにミシェルは目を細めて疑いの眼差しに変わる。というのもある程度の予想がついているからだ。
「お兄ちゃんまた喧嘩したでしょ」
「うっ、まぁ少しだけな」
しばらく黙りを通していたが妹の眼差しに耐えきれなくなり白状する。するとミシェルは更に怒り出した。
「少しじゃこんな傷はならないでしょ!!それにお母さんに喧嘩はしないって言われたでしょ!!」
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