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「たくっ、ミシェルの奴余計なことを・・・」
あいつが告げ口をしなかったら今頃夜食にありつけていたのに、と心の中で彼女を避難する。ミシェルはは兄をこれ以上怪我をしてほしくないと言った心情から取った行動であるがキースにとっては大きなお世話だった。
再びお腹の音がなる。ミシェルを避難した所で腹が減っているのは変わらない。彼が何度めかのため息を吐くと部屋の方からノックの音がした。
「どうぞー」
キースが力のない声で返事するとドアが開く。入ってきたのは母、サーラだった。防具を身にまとい手には竹刀を持っている。母は剣道をしていて全国の大会でも優勝しているほどの実力者で、師範代でもある。
「何だよ」
キースが睨み付けるがいつもの迫力がない。そんな様子に母はクスクスと笑う。
「あらあら、元気ないわねぇ。お腹空きすぎて弱っている狼さんみたい」
「うっせ」
母にからかわれ噛みつくように言い返す。しかし覇気のない彼の様子に可哀想に思ったのか竹刀で入り口の方を差す。
「下に行きなさい」
「あ?」
いきなり下に行けと言われて戸惑う。そんな彼に母は言葉を付け足した。
「台所に夕食あるから自分で入れて食べなさい」
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