「ライバル」

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「ライバル」 貴志は競馬学校の上級生に対して 勝るとも劣らない程の優れた乗馬技術があった。 馬術競技会「JapanOpenIn 東関東」 東関東ホースパークⅢグレードジャンピング競技 アマチュアチャレンジJEクラス競技/一般 この大会の注目は騎手、調教師として有名な父を持ち 完璧な乗馬を期待させる大樹の存在であった。 多くの記者、ギャラリー達が集い、地方局ながらも テレビ局が中継をする程、会場は異様な熱気に包まれていた。 それはまるで「ファンの集い」でもあるかのようだった。 応援幕と声援の中、大樹が騎乗すると手を挙げ軽く会釈をした。 「キャー大樹さまぁ!」 この黄色い声援と大樹のクールな態度に会場はざわついていた。 「若きプリンス現る」 「競馬界を担う新星降臨」 雑誌記者達も既にタイトルを準備、大樹の優勝を疑わなかった。 競技が始まった。 (今日はいい天気だな。風が気持ちいい) 貴志の心は無垢だった。 大樹の存在を意識しないと云えば嘘になる。 だが、大樹と争うつもりはなかった。 (自分のスタイル、技術の全てを出せればいい) 馬というものは敏感な生き物。 会場の熱気で、殆どの馬達が多量発汗をする「入れ込み状態」だった。
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