「ライバル」

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騎乗技術と馬の能力、そして状態。 皮肉にも結果としてミスに繋がり、低スコアの連発が続いた。 貴志の順番が廻ってきた。 そして貴志は馬に語りかけた。 「いっぱい楽しもう」 貴志は完璧な乗馬を見せた。愛馬も踊り、楽しんでいる様だった。 現時点で1位。 やがて大樹の出番がやってきた。 ところが、誰もが想像もしない黄色い声援が上がってしまった。 「ブルルルルッ」 明らかに馬が過敏に反応をした。 必死に宥める大樹だったが、馬は落ち着かない様子だった。 しかし、競技が始まると、心配は払拭された。 まさに「華麗」 ウットリする程の技術。誰もが溜息を漏らしていた。 が、終了間近だった。 大機にはあり得ない 馬が躓く様な ちょっとしたミスを冒した。 「おい・・・・・・」 「もしかすると・・・・・・」 誰もがそう思った。結果に会場は騒然とした。 得点僅差で貴志がトップのままだった。 最終結果。 貴志は2位、大樹は3位入賞だった。 大樹はクールな態度で取材陣の写真撮影、コメントに応じていた。 だが、奥底では貴志への闘志が青白くメラメラと燃え始めていた。 「ライバル」 ふたりの間に鎖が繋がった瞬間であった。
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