「卒業~三角形のバランス」

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- 卒業~三角形のバランス - 貴志は競馬学校へ。 愛美は看護士の礎となる私立高校。 園田は文武両道の進学高校へ 進路が決まった。 お互いが卒業を「一時の別れ」に捉えた。 新たな可能性を求めた。 卒業とは・・・・・・ 新たな出逢いの岐路なのだから。 卒業式。 在校生代表の送辞、証書授与、校歌斉唱。 式を終えて体育館の外で号泣する卒業生。 貴志は在校生の見守る花道の中を 一歩一歩踏みしめながら 学舎での思い出を回顧した。 学生服の胸釦が全て無くなっていた。 「ありがとう」という感謝を込めて 求める後輩へ手渡していた。 (あっという間の3年間だったな・・・・・・) 懇親会の席で ギターを持った恩師が歌い始めた。 「旅立ちの歌」 それは初めて聞いた曲だった。 フォークの神様と呼ばれた 上条恒彦という人の曲らしい。 (もっと新しい曲あるやろ~!?) 貴志は苦笑いをしながら 恩師の温もりに触れていた。 そして恩師が語り始めた。 「皆がそれぞれの道を歩んでも] 「忘れないで欲しい事があるんだ」 「まず、私の事は忘れていいが」 「学舎の思い出、友達、仲間など」 「・・・・・・文字に喩えるならば」 黒板に二文字、恩師が書き始めた。 人(ひと) 縁(えん) 「人とは文字の如く支え合う事で成立つもの」 「縁とは育むも捨てるも」 「判断、価値観で決まるもの」 「今は深く捉えずとも」 「いつかは理解出来ると思います」 「人間として礎(いしずえ)になる」 「二文字を君達へ贈ります」 そして恩師は「贈る言葉」を歌い始めた。 (金八先生になったつもりだったのですね) 貴志達は苦笑をした。 でも・・・・・・  歌わずに居られない程 恩師の深い温もりに感動していた。 人間を形に喩えるなら「三角形」 頂点(能力)を伸ばすと 他の頂点とのバランスが大切になる。 人間として器の大小あれど 正三角形に近い程 理想の人間像なのだ。
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