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――自主的に辞表を提出しなければ、あなたを懲戒処分にして、億単位の賠償を負担してもらう。
三年前、医学部を首席で卒業した私を「是非に」と医化学研究所に招聘した理事長は、まるで別人のように冷然とそう告げた。
奨学金を受けながら苦学してきた身には、億単位の賠償など、想像もつかない。
今、口座に入っている貯金を全部合わせたとしても、一億どころか、一千万にすら……。
理事長は見透かしたような笑いを浮かべると、続けた。
――こういうお金の問題はね、ご家族にも累が及ぶんですよ。
辞表は出したが、退職を依願したのは私じゃなくて、研究所の方だ。
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