第4章

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「Me too. I'm loving you. It's true. (オレも愛してる。嘘じゃない)」 耳元で囁かれる愛の言葉。 切なく甘いビブラート。 胸が熱くなる。 「ススム、顔を見せて」 言われて、腕の力を緩める。 彼は俺を見つめて、指を伸ばし、俺の頬に触れる。 「ああ、なんてキレイな黒い瞳。本当はあの朝、もう一度この瞳に見つめられたかった」 ラリーは背伸びをして俺の目元にキスをする。 触れてすぐに離れる唇の、やわらかな感触が心を揺らす。 俺は彼の髪を括っているゴムを取る。 金色の髪がふわりと広がる。 その中でいくつもの光を閉じ込める瞳が輝く。 「あなたの瞳のほうが何倍も美しい。最高レベルのジュエリーより更に」 大真面目に言った最高の賛辞。 なのに、ラリーは吹き出して笑いはじめる。 「君は日本人じゃないな。フランス人?いや、気障さで言うならイタリア男だ」 笑い続ける彼の目元にキスを返す。 「イタリア男と付き合った経験が?」 「ある訳ないだろ。オレ超奥手だから。君で二人目。信じなくてもいいけれど」 挑発的な瞳が見つめてくる。 ぞくぞくと覚えのある痺れが背筋を走る。 視線だけで男をその気にさせる彼の、どこがどう超奥手なのか、つい微笑ってしまう。
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