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「…でも、やっぱり、あの噂はウソですね。だって、豊嶋さんは私の前では笑ってくれますから」
「違うよ」
「え?」
「残念ながら噂は真実。俺は、他人に笑顔みせたりしないから。楽しくもないのに愛想笑いしたりするの面倒だし、笑顔みせたところで利益なんて得られないし。」
そう言った
豊嶋さんの表情は
どこか
切なくて寂しそうに見えた。
「でも…不思議だな。夢月には、利益とか面倒だとか、そんなの関係なく無意識に笑ってた。」
「どうして…?」
どうして
私だけに
笑顔を見せてくれたの?
「自分でもよく分からない。…まぁ、強いて言うなら、夢月が好きだから俺の全部をさらけ出してもいいと思ったんだろうな。」
「豊嶋さん…」
「はい!暗い話は終了。ほら、先にシャワー浴びてこい。」
「え、でも」
「何、もしかして俺と一緒に入りたいの?なんなら、お風呂沸かすよ。」
「ち、違いますっ!シャワー借ります!」
私は
カバンから
着替えを取り出し
逃げるように
お風呂場へと向かった。
何もしないって
言ったくせに変態発言。
だけど
気のせいか
うまいこと話を
すり替えられてしまった。
「ま、いっか。」
あまり
私が
深入りしない方が
いい事なのかもしれない。
人には誰しも
触れて
ほしくない事が
1つや2つはあるのだから。
それは
私だって同じだから-----。
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