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サァァァァァァ・・・
風が木々の隙間を通り、葉や枝の擦れた音を出す。
青い空。白い雲、気持ちいい太陽に澄んだ空気・・・
ユウ「・・・良いな、この世界」
ビュゴォォォォォォ・・・
・・・?何か、途轍もない物が近付いている・・・
咄嗟に身体に力が入り、防御態勢になる。
そんな事をしても、どうともならないと分かっていても、反射的に。
そして、聞こえた・・・馬鹿みたいな轟音が。
『ガアアアァァァァァァァァァ!!!!!!!』
ユウ「っぐう!?」
急いで耳を塞ぐが、麻痺しているかのような感覚に陥った。
そして彼は、人生で一番興奮することとなる。
ユウ「すっ、げえ・・・ドラゴン、ドラゴン!竜!!かっけぇ!すげぇ!!」
自分の存在を大きく主張するかのような、咆哮。
その体長は自分などとは比べ物にならない程に大きく、逞しい。
格が違う・・・種族からして、勝てる気すらしない。
最早比べる等浅はかな考えだと、ユウは思う。
ユウ「こんなのに、立ち向かえるか・・・?無理だろ・・・」
予想を大きく上回る、実感。
空の王・・・これが、竜という存在感か・・・
そしてユウは、更に凄い光景を、間近で見ることとなる。
「ゴアアアアアアアアアアア!!!」
竜のようなサイズの、猿・・・ゴリラだ。
ゴリラが、咆哮した。
デカい。何だこの頂上決戦のような展開は・・・
ユウ「すげぇ興奮してきた・・・」
ゴリラが竜へと走りだす。
「フンッ!!」
そして先ずは跳んだ。
空高くに、飛び跳ねた。
やつはこれから重力と自分の体重を利用して、最大限の攻撃力を叩き出すつもりだろう。
流石に、こんなのに・・・耐えられるのか?
最強だと思った竜の敗北が、イメージ出来てしまった。
こんなゴリラに・・・敗けるのか?
ズドォォォォオォォォオォォオォォン!!!!
凄い衝動だ・・・地震かと思う程に、揺れた。
音の振動もすごかった。身体が、いや・・・臭いことを言うようだが、魂のようなものが震えた。
煙がはれ、ゴリラに為す術もなく敗北した竜を見ることになるのか・・・と前を見る。
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