第1章

2/10
76人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
 「何じゃ? 桃太郎ゆうんが儂の島に向かいよるじゃあ?」  桃太郎ゆう変態集団が儂の店【ONIGASHIMA】に向かって来るゆうて聞いてわしゃあ気が気で無かったわいや。 月からわざわざスカウトしたかぐや姫は、婆に負けるし。 雀は葛籠に異物混入がバレて舌切られるし。 蟹は蟹で蟹味噌グシャッとなったあげく、栽培中のカキ(鬼ヶ島では薬を意味する)を猿に奪われるし。 こりゃあもう犬猿雉じゃのうて。 犬…。 雉…。 桃太郎…。 参加せざるを得ないになってしもうとるけわしも本気を出さざるを得なくなってしもうたろうがいや。 そんな部下共に儂は言いたい。  誠意ってナニカネ?  「どうしやす。ボス?」  「どうするもこうするもなかろうがいや。儂らでどうにかするしかなかろうがいや。おんごら!」  「然しボス奴らぁ、吉備団子なる怪しい食べ物を持ってるとか……」  吉備団子ゆうたら聞いた事があるわい。 誰も知らない謎の小袋70袋に入っとって、腹持ちの良い未来のお菓子、そして、酸味は効いてもシュガーレスじゃと。 そう言う所からしても岡山県男性の意味としても『きびだんし』と広く使われとる。  然しあれは裏ルートでしか入手出来ないと聞く。 まさか吉備団子には毒とか媚薬とか熱帯夜んな成分が入っとるかも知れん。殺人菓子か? 然し儂らは鬼じゃ。 人でなし。違う。人じゃない。よって吉備団子の毒なんざ胃の中で排泄物にしてくれるわ!
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!