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「これ食べればええんじゃね?」
猫はそう言うと吉備団子を店の隅に持っていくとこちらに背を向けてモグモグと食べ始めた。
「うぐぅ! こ…この味はぁ!」
猫は全身の毛を逆立て唸った。まさか毒か? 媚薬か? 熱帯夜んか?
「どしたんな?」
「外もっちり中とろ~りで、こう丁度良い砂糖の風味が舌の上で広がり、檸檬と蜜柑とパイナップルの酸味がジワアッと口の中一杯に弾け飛んで、外の生地が雪のようにゆっくりと溶けていく、こりゃなんぼでもいけるわ。いいちこの摘みにしたい」
「詰まり、一言で言うと?」
「うまし!」
普通の食レポじゃなあか。毒や媚薬や熱帯夜んとかの異物が混入されとるんか判らんじゃろうが、猫。きちんとそれを報告せんかいや。
「うち幸せ…死んでもええわぁ」
吉備団子を完食して猫はその儘、ゴロッと床に倒れ込んだ。
「簡単に死ぬとか言うなこんばかちんがぁ! ええですか人と言う字は(・´ω・)人(・ω`・)右眉毛がない人と左眉毛がない人の眉毛が重なり合って初めて人になるんです!」
儂は必死に叫びながら猫を揺り起こすと、
「ぷすー…」
「誰なら? 今すかしたの」
「むにゃむにゃ…あんたぁ脹ら脛だけはやめんさいや。くすぐったいけ。いや…毛玉出るって。にゃはは。すっぴー」
猫。おどれかい。
おどれ死んだんじゃのうて、寝とっただけかい。どんだけ儂に恥かかすんじゃい。
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