1.筑波 ひな子の純情

3/22
64人が本棚に入れています
本棚に追加
/84ページ
スラリと高い身長に、二重まぶたの整った顔立ち。 半袖シャツからにょきっと伸びるその腕には、葉脈さながらの血管が浮きだっている。 16歳という年齢でありながら、その綺麗な容姿と、異性を感じさせる体躯(たいく)はもはや詐欺だ。 赤い顔で黙り込むあたしを尚もジッと見つめ、彼は言った。 「…ヒナ、もしかして」 「な、なによ?」 確信を得る瞳に、つい身構えてしまう。 「俺に惚れてる?」 一瞬、言葉を無くし、くらりと視界が揺れた。 「…は? なにそれ、超自意識カジョー」 いつから居たのか、永治の後ろで弟の秋人がやれやれと肩をすくめていた。 つい、いたんだ? と呟きそうになるが、ヒートアップしたあたしの口は止まらない。 「有り得ない事言わないで。誰があんたみたいな高校生(がき)に……!」 ひとりで苛立つあたしと違い、永治は無表情で黙り込んでいた。 …何でこんな風なんだろう。 永治といると無性にイライラする。 あたしは両手を握りしめ、あからさまに不機嫌さを装う。 その脇を通り過ぎ、永治は玄関の戸を開けた。
/84ページ

最初のコメントを投稿しよう!