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それが僕の戒めにしよう。しりとりが天才だなんて呼ばれなくていいようにね。勝負だよ。しりとり』
それから少年は何かにつけて、問題を持ってくるようになった。トラブルや謎、事件をどんどん放り投げてくるようになり、いつの間にかニックネーム『しりとり探偵』と呼ばれはじめ、少女はいい迷惑だったけれど、それを言うと負けを認めてしまう。それはイヤだ。
「だからってわざわざ自分が犯人になることなんてないのに、きっと年下の女の子だったからね。もう」
プクッと頬を膨らませながら、少女はペンをギュッと握りしめる。あの少年は女の子に甘い、プクプクと怒る。
「うん、誤解だよ。僕は年下の女の子じゃなくて、年上のお姉さんも好きだよ」
山本教師の長ったらしい説教と、反省文をしこたま書いてから僕は生徒会室にやってきた。最上級生の僕らは生徒会役員なのだ。
「よろしくない、よろしくない、そうやって女の子ばかり鼻の下を伸ばすのはのよくない」
「いや、よくないって、これは男の子としての性だよ。しりとり。女の子とはいつでも仲良くしたいじゃないか、休日にはピクニックなんていいと思うしさ」
実を言うと、年下の一年生にお詫びにと今度、キャンじに誘われたのだやったね。まぁ、ことの真相はと言うと、テストの悪かったからつい出来心でやってしまったらしい。
「性? 何を言ってるのかしら、このアホは私との勝負を後回しにするようなことなのかしら、そう、私の勝ちでいいのね。やったわ」
「わーわーダメ、それはダメ、いつかしりとりの解けない謎を持ってきて、うーごめんなさい、解けませんって言わせるのが僕の夢なんだからさ」
「最低ね。でも、安心しなさい。私は天才だから、どんな難事件だろうと解いてあげるわよ。かかってきなさい」
自慢げにしりとりが微笑み、
「言われなくてもそうするよ。覚悟してよね。しりとり」と僕も笑った。
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