第1章

5/13
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
安楽椅子探偵ならぬ、保健室登校の不登校児、しりとり探偵こと、白鳥しりとりに向かって言う。今日も彼女の特等席のベッドに寝転がり、日がな一日、一人しりとりを楽しむ彼女に言う。僕が知る限り、今まで出会ってした人達のなかで白鳥しりとりより頭のよかった奴は見たことがない。たぶん、山本教師よりも頭脳は上だ。だからこそ、彼女は授業を免除され、一日中、保健室にいることを許されるている。 「さようなら、また、会いましょう。受付は終了しました」 「探偵ごっこのくせに調子にのるな。あ、ごめん、調子にのった。とにかく、ここからは僕の独り言なんだけれど、教室に置かれていたはずの答案用紙がなくなったんだ。探すのを手伝ってほしい」 素直に言おう。白鳥しりとりとの会話はとても疲れる。ここから先の返事は、いいでしょうの了承か、嫌ですの拒否か、それとも僕の独り言だと決めて無視するかその三択だろう。 「……………」 沈黙が続く。どうして、僕が彼女の返事を予測できるかと答えなければならない。まぁ、理由としてはとても簡単だ。 彼女がしりとり探偵だからだ。これだけで説明できてしまう。 しりとり探偵は、しりとりを愛してる。だからこそ、日常的な会まじらしりとりになってしまう。高名な頭脳を無駄遣いして会話をしりとりにしてしまう。それを無視した場合、彼女との対話は不可能だ。 よーするにめんどくさい女の子なのだ。僕の幼なじみこと、白鳥しりとりはとても頭がいいのに、とてもバカ。みんなはそれを知っているから、白鳥しりとりとは関わろうとはしない。ルックスはいいのにこの残念さは、まさしく漫画の名探偵みたいだ。 「いいでしょう。話してみてください」 「いいの? マジで?」 「出来損ないのアンポンタンがワーワーうるさいので特別です。さぁ、早く」 アンポンタン言うな。まったく、正直になれない奴めと苦笑いしながら話す。 「くだらないですね。特にその山本が特に大切な物を教室に放置など、教師失格なのではなくて? ああ、頭が痛くなかってきたわ」 その意見にはおおいに賛成だし、山本教師には反省してもらうとして、 「わかったの? 答案用紙の在処」 「確実とは言えませんが、目星はついています。犯人についてもです。私が出向くこともないことでしょうが、まぁ、いいでしょう」 「うん」 と、僕は頷いた。白鳥しりとりは返事をしなかった。会話終了だ。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!