第1章

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デットラインを、締め切り期限を迎えてしまう。白鳥しりとりは犯人に、事件に頓着しない、しょせんはしりとりの延長でしかないのだ。彼女は日常的な会話の中に事件を引っ張り込み謎を解いて犯人を見つけて終了する。犯人を見つけ出した時点で終わってしまう。なぜなら犯人の最後は『ん』なんだから、時間が迫っている。 そもそもこの事件はなんのために起こった? 答案用紙を見つければよかったんじゃないか。この事件は最初から曖昧だった。答案用紙の在処も、花瓶の在処も曖昧だった。だから、誰もが犯人になる可能性があった。一年生の女の子、二年生の男の子、そして僕、もしくは他の場所で掃除していた生徒、またまた山本教師のうっかりで最初から答案用紙なんてなかったなんてオチもありえた。こんなのは探偵ごっこだ、終わろうとは言えない、白鳥しりとりを、しりとり探偵を連れ込んだのは、この僕だ。謎の迷宮に連れ込んだのはこの僕が探偵ごっこなんだからやめようぜとは言えない。 「運命は決したようですね。ーーーーは」 白鳥しりとりが犯人と言う前に、僕は「ハッハッハッハツ」と高笑いした。しりとり探偵の特性を利用した強引なやり方で僕は言う。 「犯人は僕だ。よく見破ったな、しりとり探偵、ククク、ニーヒヒヒヒ、もうバレてしまっては仕方ない。そうだ僕が犯人だ。どっかの間抜けな女が不要プリントが入った箱の中に花瓶の水をこぼしてしまったのでなぁ、その被害に答案用紙も濡れてしまったのよ。くくく、だが、もう遅いわ、答案用紙は学校の校庭にある焼却炉に放り込んだ。今頃、用務員のおっさんが焼いてしまっただろうよ。ククク、ニャーハッハッハッハッハッハッ」 と演技っぽく言う。ここでシュレッダーで紙屑にしてやったと言えばよかったかもしれないが、この田舎町と中学校にシュレッダーなんてない。 「つまり、あなたが教室を探そうと言いだした時、おかしなポーズをしたのはお腹に隠した答案用紙がずり落ちないようにするためだったと」 「当然よ。間抜けなアホ共がワラワラとやかましいのでな、ついつい調子にのってしまっただけのことだ」 あと、変なポーズじゃないかっこいいポーズだ。失礼な奴め。まぁ、これで一年生が犯人として差し押さえられることはないさずだ。警察沙汰にならなくても、学校での立場は陥落してしまうだろうからな、ここは上級生として庇わなければなるまい。うん、 けっして犯人が
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