出撃

4/4
前へ
/4ページ
次へ
大福頭のそれとは比べ物にならない威力の弾幕が降り注ぐ もはや雨すら凌ぐ鉄鋼の矢は、ガトリングから放たれている 六本脚は脚が遅く回避が間に合わない、ことごとく大破 二本脚は全速退避で逃げおおせたが、離脱出来たのは数機のみ 「隊長!見捨てないで下さい!助けッ」 息がある機体に、巨大な砲弾、爆発 バズーカによる砲撃である 「し、死神め、怖かねぇ、怖くなんかぁ!」 若いパイロットの一人が、それ、に銃口を向ける しかし、バズーカの無慈悲な一撃は、攻撃を許さなかった 若い命は、死神により、他の機体ごと爆風に包まれる 「アンナ、ごめんな…」 唐突に現れ、無慈悲な攻撃で死神は、一分足らずで魂を、粗方持ち去った 輸送機の中、ほぼ無傷なタナトスの修理ドック オペレーター・ミシェルがパイロットに話し掛けていた 「大きな怪我がなくて安心しました、いつも無茶な戦いかたですよ、次は気をつけて下さいね」 心配するミシェルは、少々怒っているらしい 可愛らしいブロンドが、揺れている 鉄臭いドックの中、タナトスの上から二人に声が掛けられる 「夫婦喧嘩なら他所でやったらどうだい?」 初老の整備員、ラドリー 彼は髭を撫でながら、ミシェルをからかう様に言った 頬を赤くし、ラドリーを無視しながら、オペレーターは話を続ける 「あなたが、私の親の借金保証人の遠い親戚だと、そして傭兵として借金を協力して返すって聞いた時、私思いました」 またブロンドが揺れる 「優しいひとだな、って」 ミシェルは静かに立つ黒鉄の巨像に顔を向けながら、 「戦場で生きるのが辛いなら、辞めたいなら、言ってください、あなたは死神なんかじゃありません、その名前はこの子が持っています」 優しく微笑んだ 輸送機は、死神を載せ、飛び続けた
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加