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狭いコクピットの中、砂漠には似つかわしくない爽やかな女性の声が響く
「新発見の資源を発掘中の『フルハウス団』調査隊に向け、『白虎帝国』部隊が進行中です」
コクピット内の映像パネルに、地図と、それぞれの対象を示す点が写る
「今回の作戦は、両部隊が疲弊したころを見計らい攻撃、殲滅します」
別のパネルには、予想される敵戦力の画像が出ていた
「漁夫の利を狙う卑怯な戦いですが、この数では仕方ありません、早めに終わらせてしまいましょう」
コクピットを内蔵した機体の駆動音が大きくなる。それは言うなればレース前のアイドリング
「作戦領域到達!『タナトス』、出撃してください!」
との声と同時、低空飛行していた輸送機から、今殺し合いをしている鉄達とは一際違う機体が投下される
「無事を、祈っています…!」
黒い全身、かなり無骨なボディ、それに見合う太い脚、暗い赤の頭、片手にバズーカ片手に手持ちガトリング、それらを纏めて飛ばすための背部大型ブースター
異形と呼ぶには圧巻なそれ、は
「北西から新たな機影確認ッ!」
「こんなときにぃ!」
その場にいた誰からも歓迎はされなかった
しかし、目視の瞬間それ、は
「あれは『死神』って噂のヤツか!」
「知っているのか10番機!?」
「だからなんでこんなときにぃ!」
顰蹙から恐怖の声に、周りからのプレゼントを変えさせた
ブースターユニットが焔を吐き出す、急加速
対空砲火を試みようとした六本脚が隙を見られて蜂の巣になる中、それ、は無様に戦う機体達を見下ろす位置に滞空する
「なめやがってぇ!このッ!」
「いかん、待て!」
「え?わっ!?」
それ、に対し攻撃を仕掛けようとした大福頭がカチ割られる
そう、ここは泥沼の戦場
隙を見せたらコクピットの中で死ぬ
オペレーターと輸送機パイロットは、このタイミングを狙っていた
ならば戦闘パイロットがやるべきことは一つ
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